エコ動画甲子園

環境関連ジャーナルvol.1

世界でも日本でも、猛威を振るう異常気象

エコラムのシリーズ「環境関連ジャーナル」では、日本や世界の環境に関わるニュースやトピックを扱っていきます。初回のテーマは、「世界でも日本でも、猛威を振るう異常気象」。記事を担当したのは、加藤三郎実行委員長です。

平成30年7月の西日本豪雨の影響で、普段は穏やかな京都の鴨川が濁流となり(写真左)、
広島の鳥声橋は崩落という被害を受けた(同右)。

本年7月26日の朝、衛星放送でフランスやドイツのニュースを見て、大きな衝撃を受けました。前日の25日にパリで42.6℃、ドイツの北西部でも40℃超の観測史上最高気温を記録し、各国で大騒ぎになっていることをかなり詳しく伝えていたからです。イギリスでも熱波が襲い、鉄道の運行にも大きな障害が発生したということでした。

ヨーロッパでは、本年6月末にサハラ砂漠越えの熱波が襲い、南仏では45℃前後にまでなって、農作物などに大きな被害が出ると伝えられたばかりでしたが、ヨーロッパの北部でも40℃越えの高温とはまさに驚きです。パリは、緯度でいうと北海道の稚内よりも北に位置しているので、最近までは夏でも30℃を超すことは稀でした。私は1973年から76年まで3年間、パリに住んでいましたが、車にも部屋にもエアコンはありませんでした。そのパリで40℃超の高温とは、まさに脅威です。

日本でも事情は同じです。本年5月26日には、オホーツク海側の北海道の佐呂間町で39.5℃を記録しました。昨年7月の西日本などの豪雨では、甚大な被害が広範囲に広がりましたが、国土交通省の発表によると被害額は1兆1580億円に上るとのことです。このような気象災害が毎年のように発生すれば、被災者個人はもとより、地方や国の財政にとっても大きな負担となり、社会保障や公共事業などへの資金配分もいっそう難しくなることでしょう。

フランスのマクロン大統領が気候変動のことをしばしば語り、ドイツの世論調査ではついに環境重視の緑の党の支持率が一位となり、先ごろ開催されたヨーロッパ議会選挙で緑の党が大きく勢力を伸ばしたのも、このような気候の実態を反映しているに違いありません。ヨーロッパでは、政治の中核にこの気候変動問題が据えられ始めています。

トランプ氏は相変わらず気候変動には極めて否定的ですが、アメリカ国内では民主党を中心に、大胆な気候変動対策を取ろうという動きが出ています。トランプ氏と同じ共和党議員の中にもこの動きに同調する人がポチポチ出始めているのも、アメリカにおいて竜巻や洪水などの異常気象が猛威を奮っているからでしょう。

日本は1990年代から10年ほどは、地球温暖化対策で世界をリードしましたが、今はまったく遅れをとっていて、トップを走る国からは2〜3周回遅れたと、私などの専門家は見ています。与野党の政治家と企業、国民のすべての奮起が望まれるところだと考えています。